闊達行雲のお絵かき&レビュー

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【体験版】メタファー:リファンタジオ【レビュー】

9/25から配信が始まった、アトラスの新ブランドからの新作RPG、メタファー:リファンタジオの体験版をプレイしてみましたので、レビューしたいと思います。

 

 

・アトラスの真骨頂ー現代社会を投影した世界観

主人公は少数種族であるエルダ族の青年。主人公が生きる世界の一角に存在するユークロニア連合王国は8つの種族が存在しているが、国家は英雄的な初代王によって興され、強大な魔法を受け継ぐ強い王家によって併合・統治されてきた連合国である。しかし長きにわたる統治は次第に腐敗し、今や格差と差別に引き裂かれた“美徳なき国”へと堕落しつつある・・・。

公式の説明にもあるとおりで、のっけから王都の住人たちから忌み嫌われ、近寄ると「不幸になる」とかけっこうな差別を受けます。

荷馬車からはぐれた主人公が到着する王都は、圧巻の描写で、ペルソナのように、行き交う人たちが表情豊かに遊んだり、話したり、馬車が走ったり、座ってお茶を飲んだりと、王都らしい広々とした作り込みがなされています。その片隅で、ホームレスのような“劣等種族”といわれる人々が住まいしており、平民や貴族たちとはあきらかに身分の差がある、格差社会が展開されています。

世界観に引き込まれますね。

現代のグローバル資本主義の縮図といった様相で、ゲーム内でも差別、格差があるということが中心として描写されていきます。そういう中で、主人公が託される本の中に描かれている世界は、現代を模したような、摩天楼が空に向けてそびえ立つ“単一民族”が住まう世界として幻想化(理想化)されています。格差などない、平等な国。

主人公は、その本を託してくれた、ユークロニア連合王国の王子に、そのような理想社会をつくる「英雄」になりたいのだと幼い頃の夢をうちあけられます。英雄とは先行きの見えない時代に、人々の先頭に立って、大衆を先導していく存在。エルダ民族は差別を受ける種族ですが、王子はそれを関係なく受け入れてくれた。そして幻想小説に描かれている理想を純朴に信じ、共有する。王子は、謀反者の呪いを受け、寝たきりになってしまうのですが、彼を救うため、主人公は王都に潜入していく・・・。そのようなプロローグになっています。

現代社会を暗喩(メタファー)するような、現代群像劇といった導入で、敵の存在が「ニンゲン」という意味深な設定になっていることからも、おもわずニヤリとさせられるような設定だなと思います。

格差社会における違和感を感じている人、それは現代を生きる私たちの縮図そのものなのですが、その描写がうまく、多用されるアニメーション、細部まで作り込まれたマップ、そこに住まう人たちの細かな会話によって豊潤に描かれていきます。これは没入感、あがりますよね。

 

・過去作からの影響

ノルド廃鉱山のダンジョンBGMは、3DSの「deep strange journey」じゃんとw分かる人はすぐに分かると思います。初っ端のボス戦もテンションの上がる展開、覚醒シーンもペルソナ的展開で、ワクワク感高いですね。

敵キャラのクズっぷりと、それに対峙する主人公たちが、個の内部にやどる英雄像(アーキタイプ)を覚醒させていくところ、デザインなんかはゼノブレイド3の影響かなと思わされますが、「かっこいいなあ」と唸ってしまいました。

動画やファミ通のニュースで見ていたものの、実際触ってみると、通常攻撃のダメージと、風魔法で与えるダメージに大きな差異があり、またweakを突いたときのダメージ量も大きく、ロボット的な表現がしてありますが、かっこいいですね。システムはメガテン3からの伝統を踏まえ優秀なシステムで、敵にターンを渡さずに、連続攻撃を継続させ、攻撃し続けることが可能になっています。

アクションで斬りつけ、ひるんだところをターン制のバトルに持ち込んで殲滅する・・・。あるいは弱い敵は、フィールドの通常攻撃で簡単に倒すことができる。今作の「ファスト&スクワッド」といわれるシステムですが、爽快感があり、テンポがいい。

□ボタンで攻撃し、△ボタンでターンに持ち込む、そして顔のアップのカットインが入り、戦闘フェーズに移行していく・・・。テンポの良さはさすがだなあと唸ったポイント2つめです。ドラクエなどにはない、アトラス独特のRPGの戦闘システムで、作り込み、演出など、プレイヤーがどこに快を感じるか、プレイフィールを考えられているなあ~と思いました。

ボタンの反応がよく、スキル使用から発動まで待ち時間なく、テンポがよい。コントローラーとキャラの動きの連動性が高く、ぬるぬる動く印象です。自分もRPGを実質2作ツクールで作成しましたので、工夫がよくわかります。

ペルソナをファンタジー風にした感じのRPGで、過去作からの影響を織り込みつつ、深化させていこうとする気概が窺えます。

 

・豊富なアニメーション、先の気になるストーリー展開

体験版ということもあってか、引きの強い、豊富なリソースを投入してあります。アニメーションがふんだんに使用されていて、ペルソナ5を上回る密度で、ぐいぐい引き込んできますね。

王都の作り込み、そこに住んでいる人々の生活感、とくに「種族格差」が、街に影を落としている、腐敗した政治の行方をよくわかるように描いてあります。

その中で王道バトルを体験しながら世界を旅していくのですが、大筋のストーリーは王の魔法が発動し、王権をめぐった選挙バトルが展開されていくという流れになっていきます。一筋縄ではいかないというか、二転三転しそうな、どのような方向にでも転んでいきそうな展開が待っていそうです。

主人公は、やがて王になる宿命を背負っていると言われていますが、簡単にはいかないでしょう。メガテンなどに見られるEDの分岐などもあるかもしれませんし、最後まで世界に引き込まれつつ、主人公と共に、物語世界を追体験するようなプレイ感を味わえそうです。

う~ん、気合い入っていますね、studio zeroの初タイトル、2016年に発表されてから8年、アトラスの35周年の記念作品ということで期待感が高まります。最近のアトラスは派生作品において無難な作風もみられるものの、市場とよくコミュニケーションしながら、自社の作品展開を考えているように見えて戦略的だなと思うし、モーメンタムを感じます。新作はそろそろペルソナ6もあるだろうし、ライドウのリメイクも出るんじゃないか、といわれていますが、リメイクするにしても新作を出すにしても、セガ傘下で、ブリリアントな活躍をしていってほしいですね。

ユニコーンオーバーロードも体験版のプレイフィーリングがよくて購入して正解(あとで品薄になった)でしたが、この作品も、時間をかけて最後までストーリーを追いたい気持ちが強くなります。ゲーム好きのキッズにもどったような、そんな感慨をいだく体験版になりました。

なお製品版にもデータを引き継ぎできるようなので、気になった方は、プレイをオススメしておきます。ロード時間は若干王都での読み込みが気になるところがあるものの、全体として平均的な速度ですし、戦闘のテンポはとてもよいです。ただ製品データが大きく(22.7GB)、DLに30分ほどかかったかな。その点は少々気になりました。

 

僕も時間を作って、じっくりプレイしていこうと思っております。みなさんのレビューも楽しみですね😘王権選挙の行方(ストーリーの行く末)を、ともに見届けていきましょう。