闊達行雲のお絵かき&レビュー

イラスト、小説、ゲームを作っています。

RPG進捗状況㉒

さて、着色作業に入っていきます。まずは下書きが終わったものに色の仮置きをしていき、全体のイメージを決める「下塗り」を作成していきます。今回の絵は「crystalline mind」という題にもあるように、「水晶のように澄んだ心」を表現したくて描いていく感じになります。


まず下書き状態の絵ですが、構図を変更して左端の武闘家・ヨリミツの顔が大きかったのでサイズを小さくして、右上へ移動させました。そして主人公のジェドは画面中央にもってきて、魔法剣士の姿とともにキャンパスの中央に配置し、一番目立つようにしました。ジェドがもっている光の球みたいなものが、表題「crystalline mind」の象徴のようなものなので、まずはこれを一番目立ち、発光しているようなレイヤー属性で描いていきます。オーガはニューゲームなどのコマンドがあるため削除しました。
一旦塗っていくと、下書きに描いていたのとはイメージがズレていくので、描き直す・細部修正をしていきます。背景を入れるとイラストの印象がまた変化しました。大体こんな感じの絵になると思います。
やはりカラーは苦手で、言語による分析をしたくなる度合いが山ほど出てきます。今回はクリスタアセッツにある素材を使った質感の表現です。アセッツの素材は既製品のものがあり、お手軽にクオリティをあげられたりします。例えば、上の画面中央にあるジェドが持っている光の球をアセッツの素材を使用すると一発でできます。そのような利点もあるのですが、多くを素材でいれてしまうと、導入した素材だけが浮いてしまうことがありました。まだ描き込みが薄い内に素材を使用すると、素材の完成度だけが高いため、その部分が浮いてしまうのですね。なので、ある程度描き込んだ後、基本的に補助的に使用するというのがアセッツの素材の使い方というようになってきます。つまるところ、ある程度下塗りを仕上げていく作業がまず第一で、ある程度仕上がってきたらアセッツの素材を使用して、クオリティをあげて仕上げてもよい。そういうフローが基本になります。

仮塗りはレイヤー枚数を少なくして、ガシガシ塗っていく

文章で絵を分析していくということは、絵に詰まってしまったときに、その中身を「客観的」に分析して悩み・問題を解決し、先に進んでいくためにあります。下書きを行っているときはよい感じが出ていたものが、仮塗りをしてみると「なんだか違うなあ」という感じが出てくることが自分にはよくあります。色を置くと絵が明確な領域と振幅をもった“絵”として確定してくるため、下書き時点で描いていたものとは印象が異なってくることがあるのです。それはそれとして受け止めていきながら、下書き時点での線画を修正しながら、絵全体が持つ雰囲気や背景なども込みで“色彩”を確定していきます。ここで時間を取って、下塗りを仕上げていく。塗りは重ね塗ることをメインにした「厚塗り方式」で塗り上げていき、色を塗り込んでいく。この色の“塗り込み”というところに、下書きで受けていた“印象”を色の領域においても拡張適応させていくカギがありそうです。
つまり、塗りの時点でアニメ塗りやデジタル特有の二次元の塗りというものに思考がとらわれているため、美術の時間にやったような多重・多層的に色を塗り込んでいくという作業に目が向いていないのです。レイヤーを使った後からの色調補正、色相や彩度・明度の変更に気を取られて、色を“塗り込む”というところに目が向いていない。仮塗りの時点では絵のもつ印象を確定させていくところに重きが置かれるので、存分に塗り込んでいく。アニメ塗りだと淡泊な印象にしかなりませんが、水彩筆を使って厚塗り風に多層的・多重的に塗っていくことで、人物や物体の立体感を表現しやすく、自分の課題である「質感」を表現しやすいのですよね。
多重的・多層的に塗っていくというのは、レイヤー数を一枚に限定してその中で色を塗っていくということです。レイヤーが基本一枚なので、肌の影付けのレイヤーどこだったかな、などと探す必要も無く、またあとから色相や明度調整をする前提ではなく、美術の時間に塗ったような塗りでやっていこうというようにアナログの描き方で色を塗っていけます。自分はアナログや美術の時間は絵を評価されたことがあるのですが、デジタルではそれほどという感じなので、一度執着を取っ払って、自分が得意で評判がよかった塗り方に戻しているという感じです。もちろんいつまでも一枚のレイヤーの中で描いているのではなく、そのうちレイヤーを分けて描いていきますが、枚数的にはそれほどレイヤーを多くせず、厚塗りのようにあとで統合し、そのうえからまた色をどんどん重ねて塗っていく感じにします。アナログで描いていた期間が長かった人にとっては、その方が塗りやすいのでしょうね。
塗っていくと「色がくすんできたりする感じを受けること」、また剣の部分の下描き時点での描き足しが必要なことがわかってきました。厚塗りは基本的に、「レイヤーを統合」して、線画、仮塗り、影付けのレイヤーを統合して連続して塗っていきます。色のくすみはこの方法論を進めていきながら、色相を変化させたりして、色の明るさ・鮮やかさを加味していきたいと思います。また剣の描き込みは、画面中央で目立つ位置にあるので、剣の形状を変化させ、描き込みを増やしました。おかげでいい感じになったと思います。

塗りの教本について思うこと

塗りをしている途中で購入してあった厚塗りの教本を読みましたが、これがハイレベルすぎて、内容がまったく入ってきません。Amazonレビューの評判は高いのですが、どうも絵師の方の絵に惹かれて買っている方が多いような印象を受け、基本から確認したい感じの人には不向きな書籍かと思います。実際、初心者には難しいというレビューもありました。読むと頭がこんがらがり、その塗り方を「正解」として憧れてしまうと、自分の塗りが何というか稚拙なものに思えてきてしまう・・・。というような感じの本で、すぐに見るのを止めてしまいました。
このように教本系の書籍では、ほとんど「目から鱗が落ちるような劇的な成長をさせてくれるものに出会った」という経験がありません。特典でプロ絵師の方のレイヤー構造を紹介してくれるものがあり、クリスタでひらけるのでよいなと感じるものもありましたが、そういう書籍はほんの1,2冊で、絵の世界はスキル的に高度なものを持った人の専門職的な雰囲気があり、上を目指せば目指すほど、「専門職化・高スキル化」していく。楽に描かれていても、その実、専門的で高度なスキル保持者がすごいスキルをどっぷりと盛り込んで描いている・・・。そういう世界に入っていくように感じます。なのでそれを言語化して一冊の本としてまとめても、もともとの基本スキルや発想の仕方が全然違うので、頭に入ってこないのですね。
自分は実質8年ほど、絵の活動を含め創作をやっていますが、絵の教本に関してはほとんど「これだ!」というものに出会った経験がありません。それは絵というものが、アニメ絵の場合は特に子どもから大人まで取り組める間口の広いものでありながら、上を目指していけばいくほど、それとは“異次元”の、プログラマーやエンジニアの方のような高度な“専門職”になっていくというところに原因があると思われます。またツクラーさん界隈のように横のつながりもそれほど強くなく、質問や疑問があっても助け船を出してくれるような場所がそうたくさんあるわけでもなく、放ったらかし状態です。絵を描いている人たちの冷酷さというのは確実にあって、そういう事象に自分は何度も直面してきました。そのため、ツクール界隈にきて、SNSなどでの横のつながりの強さには驚かされ、「善い環境だなあ」と感動したことを今でも覚えています。
なので絵は、アニメのものは間口が広く入りやすそうにしていても、そういう専門職然としたある種の技術力がものをいう世界でもある。技術力の高い人は発言力も強く、影響力もあるけれども、無い人にとっては教えてくれる人も少なく、冷たく無慈悲な世界が広がっている。動画などで解説してくれる講座YouTubeなどもあるけれど、肝心のかゆいところに手が届かない。それはそういう講座サイトの作者さんが能力が無いからではなく、絵という領域そのものが、本来個人の技術力に依存する裾野の狭い世界だからである。アニメは、ところが、その裾野の狭い世界がなぜかキャッチーな間口の広さという特性をあわせもつものとして、存在してしまった。だから「間口の広さ」に憧れて入り口をくぐってみると、中身は矛盾していて、内側には歴然としたスキルの格差・カーストみたいなものが広がっていて、技術の無い人には「慈悲無き冷たい世界」になっている。そういう側面があるよということを、これを機会に知っていただければと思います。
この辺の内容に関しては、8年活動していてもう少し掘り下げて書きたいところでもあるので、縁があるときに有料記事などで書いていきたいと思います。

積みゲーの本数:60本

引き続きソウルハッカーズ2をプレイしています。最近はイラスト制作に精も根も尽きている感じで、なかなかコンシューマー向けゲームはタッチできていませんね・・・。