闊達行雲のお絵かき&レビュー

イラスト、小説、ゲームを作っています。

【軽度のネタバレあり】ソウルハッカーズ2:レビュー

 

ソウルハッカーズ2をクリアしたので、レビューを書いていきたいと思います。
全体を通してはゲームとして楽しめたので、それほど不満に思ってはいません。ハードボイルドな世界観や合体、戦闘の難易度など調整がきいており、初見で相手の属性相性が読めず強力な全体攻撃で全滅するなど、アトラスのゲーム“らしさ”を感じることができました。自分のゲーム制作や絵の合間にほどよい息抜きにもなり、楽しめました。
中編のRPGとして、それなりの作品ということができると思いますが、やはり他のP5Rや女神転生などとくらべると、ストーリーや価格面で少々物足りないところがあると思います。
総評としては価格帯を下げ、中規模の作品として売り出していけば、もっと全体的な評価は違ったのではないかと思う。改善点が多くなりますが、自分なりの感想を述べていきたいと思います。

 

 

・ソウルハッカーズ2:レビュー

・キャラについて

まず冒頭の仲間がすぐに4名揃うことについて、少々唐突な印象を受けました。ハードボイルドな世界観なので、もっと仲間が揃う出会いにドラマティックな展開やあらすじがあってもよかったように思います。キャラの内面はソウルマトリクスやバーの会話、ストーリーの内容で深められていきますが、タイミングが早い。
最初はリンゴとフィグ、ソウルハックして助けたアロウぐらいで、そこからサイゾー、ミレディがダンジョンを攻略する度ごとに仲間になっていくとか、死闘の末、仲間になるとかそういう伏線というかストーリーがあってそこにプレイ時間を使った方がよかったように思う。序盤で一気に4人揃ってしまうのはソウルマトリクスの仕様上仕方のないことなのかもしれませんが、それならば、ソウルマトリクス自体をもう少し後から出すなど、もう少し本編ストーリーの展開に工夫が欲しかった。あとグランマの声は、キャラと合わせて検討の余地があると思います。

・全体的なボリューム不足

→メインストーリーがサブクエをやっても30時間程度と最近のコンシューマーRPGにしては物足りない。またストーリーの流れもコヴェナントを追っていくという流れですが、それ以外はとくになく、ダンジョン攻略をして、その合間に何人かの犠牲者が出て・・・という一直線のストーリーで、本筋に起伏がなく単調な印象でした。もう少しサイドストーリーというか本筋に絡んでくる物語があればよかったかなあと思います。

・ダンジョンの長さは許容範囲、ただもう少し内容に種類が欲しかった

→ダンジョンが長い、ソウルマトリクスが単調という声を聞きますが自分はそこまで不足を感じませんでした。攻略のし甲斐があったし、ソウルマトリクスは精神世界なので、あのくらいでよいかなと思います。ただ本編のダンジョンが廃棄された鉄道路線というのが2個ぐらい続いたので、もう少し別のものにしたほうが種類があって単調にならずにすむかなと思いました。ダンジョン内の風景にもう少し有機的な要素というか、作り込みが欲しかったという感じです。ワープゾーンや一方通行の壁を使った複雑なダンジョン構成は評価できるので、そういうところの掘り下げ、作り込みがあるとよりよかったと思います。

・店のキャラが一枚絵だったり、ストーリーにボリュームが足りないなど、価格比で少々作り込みが薄い印象を受ける

→表題の通り、問題点の多くはこの点にあるようにも思います。新作にしては全体的に本編のボリューム不足があり、そこにデラマンチャやCOMPスミスなどといった店のグラフィックが、3Dモデルではなく、一枚絵であること。またアイテムも機械的にたくさん用意した、というようなものがあり、とくに道具アイテムの方が使わないものが多かった。COMPがデビルサマナーたちの商売道具であり、物語上も重要なアイテムになるので、トライエースの「エンドオブエタニティ」のように、改造すると、武器の形状がリアルで変わるというようにしても面白かったと思う。また主要な街以外の立ち寄れる施設が少なく、「養護施設こまどり」などは施設内に入れて、子ども達と会話ができるようになっていた方がよかった。物語の展開的に重要な場所だったので、子ども達のエピソードを追加で挿入するなどして本編にボリュームを持たせられるとよかったように思う。

・戦闘要素

→戦闘は高速化して、サバトなども演出スキップしてプレイしていましたが、テンポよくサクサクと進むことができよかった。弱点相性が分からないと苦戦するが、そこはメガテンやアトラスのゲームの仕様上、慣れっこでいい点なので、テンポがよくサクサク進むところはよかったと思う。また仲魔が戦闘画面上に現れないことが物足りない、というレビューも見受けられたけど、他の作品と差別化するという意味でもそうだし、ストーリーの流れ上、サイバーなシステムでCOMPにセットして闘うというアイデアは自分は特に不足を感じなかった。ただ序盤の敵の数が少なめに感じたので、最初のつかみを充実させるという意味でも、もう少し種類を増やしてもよかったと思う。

・「デビルサマナーソウルハッカーズ」の続編として

→期待値も大きかっただけに、全体的なボリューム不足とキャラの掘り下げなどに、対価格比で物足りなさを感じている人が少なくないのではないかと思う。新規タイトルならば、サバトや仲魔をパーティに入れずにCOMPにセットして使用する試みなどが、他のアトラスのタイトルと差別化できておもしろかったと思いますが、ソウル~の続編ならば、そこにひと味、「こだわったクセ」みたいなものが見れたら面白かったと思う。最近のアトラスの作品はメガテンにしても、ペルソナにしても見下ろし型のフィールド移動が増えているので、3Dダンジョン形式を検討しても、オリジナルの要素を継続しているという意味では面白かったかもしれない。

・総評

→Amazonでいうなら星3.5ぐらい、100点満点なら65点くらいの出来かなと思う。ボリュームを増やし、キャラの掘り下げ、ダンジョンや街の作り込みをもっと増やし、アトラスの他のタイトルと差別化した、ハードボイルドな味のあるタイトルになれば、グンと伸びるタイトルだなと思います。
デビルサマナーの設定、人生観、サマナー同士の闘争は胸熱で、しびれる展開になるので、そこをもっと掘り下げてクローズアップしていくとよいと思う。アイデアはいいだけに、もう少し作り込みがあれば、という惜しい作品。ともあれ戦闘のテンポはよく、歯ごたえもあり、ソウルマトリクスのダンジョンを探索していく様はアトラス“らしさ”を感じることができたので、今後の開発に期待したいと思います。